カッコイイオトコ
「は、はい……」

私は小さい体を更に縮こませた。

「あ、でも! そうですね。ハルヒコさんとのこと、知りたかったっていうのも、あります……」

「他にもあるの?」

「いえ。ただ、ユカリさんの髪が綺麗だなって、思いました」

颯爽と道を歩いていくユカリさんの姿を思い浮かべ、そう言う。

ユカリさんは眉を顰めた。

「貴女も変な子ね」

うっ……

ユカリさんにまで“変”と言われてしまった……。

そんなに変なの? 私……。


それからしばらく私を見つめていたユカリさんは、フッと赤い唇の端を上げた。

「心配しなくても、私とハルはもう半年前に終わってるわ。今更ヨリを戻そうとか、思っていないから安心して」

「そ、そうなんですか?」

「そうよ。昨日はただ、取材を受けてくれないかと思って行ってみただけ。あ、私、出版社に勤めてるんだけどね」

「……そうなんですか」

「でも、駄目ねぇ。『グラプ』はその気になればメジャーも夢じゃないのに、全員その気がないんだから。勿体無い」

「……そうなんですか」

ユカリさんの口から語られることを、私はただ驚きながら聞いていた。

< 125 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop