カッコイイオトコ
14.カッコイイオトコ
駅前の通りから一本入っただけで、人通りは少なくなる。

帰宅ラッシュが終わった後、裏通りを歩く人影は少なく、怖そうなお兄さんに囲まれた私のことなんて、みんな見て見ぬフリ。


「すっげー、痛かったんだけど? 責任取ってくれるよね?」


ニヤニヤ笑いながら近づいてきた茶髪のお兄さんは、少しだけアルコールの匂い。

まだ宵の刻なのに、もう飲んでるのかな?

だとしたらヤバいよ~。

酔っ払いに絡まれちゃったー!


「あの、えと……そんなに強くはぶつかってませんが……」


震えそうになる足を何とか踏ん張って声を絞り出す。


「えー? すげー痛かったって。骨折れちゃってるかも?」

「大丈夫か、カズー」

後ろからお兄さんたちがさも心配そうに声をかけている。

白々しいけど……笑えない~!


「ねえ、一緒に飲みに行こうよ。そしたら治るからさー」

「いえ、私、未成年なので……」

「そんなん気にすんなって。ヘーキヘーキ。お姉ちゃんカワイイし!」

ずい、と顔を近づけられて、頭を後ろに引いたけど、壁があるからこれ以上は下がれない。
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