カッコイイオトコ
「なんでハルカ知ってるの?」

「え? ……当時付き合ってた彼が空手やってたのよ……で、天道ハルヒコに負けたの」

タカさんの方を気にしながら、ハルカはボソボソと説明する。

そっかあ……そういえば、高校の時、他校の空手部の男の子と付き合ってたっけ。

だからハルカはハルヒコくんの名前に聞き覚えがあったんだ。


「ま、ハルがやり返したら、アイツら全員病院送りになるところだ。それも見越して手を出さなかったんだろ?」

「……」

「強さをひけらかさない、それもお前らしいけどな」

ガハハ、と笑いながら、タカさんはハルヒコくんの頭をわしわし撫でまわす。

ハルヒコくんは答えなかったけど、きっとそうなんだと思う。

本当に……ハルヒコくんは、カッコイイ人だと、思うよ……。


「なんにせよ、お嬢ちゃんが無事で何よりだ。大した騒ぎにもならなかったし……」

「……あの、タカヒロさん」

ハルカがキョロキョロしながらタカさんに声をかけた。

「さっきからナオちゃんの姿が見えないんですけど……まさか……」


そこにいた全員の顔がサーっと青くなった。

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