カッコイイオトコ
『アイツら見つけ出して、ボッコボコにしてやるからな!』

そう言っていたナオちゃん。

さっきは警察が来るからと、一緒にここへ来たんだけど……

まさか、本当にあのお兄さんたちを探しに行ったの──!?


「探してきます」

携帯を手にハルカが立ち上がる。

「ハルカちゃん、俺も行くわ」

タカさんもハルカを追って出て行った。


ナオちゃん……やり返さなくてもいいから……ナオちゃんも、もう普通の女の子なんだから……。


そう祈るように両手を組むと、そっと右手首を包まれた。

「痛くないですか?」

見上げると、茶色の瞳と目があった。

……あれ、今日はコンタクトしてないんだ……そんなことを頭の片隅で考えながら、手首を見る。

掴まれた手の痕がくっきりと赤く残っていた。

そう言われればヒリヒリするけれど、こんなの、全然大したことないよ。

「平気です」

そう言って微笑んでから……ハルヒコくんの額と口元にあてられた白いガーゼに顔を歪めた。


< 138 / 158 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop