カッコイイオトコ
だけど……だけど。

『好き』の気持ちはどうしようも出来なくて。

どんなにハルヒコくんには釣り合わないって思っても、止めることが出来ない。


無表情なのにたまに笑顔を見せてくれるところも。

ちょっとうっかり屋なところも。

垣間見える優しさも。

低すぎない甘い声も。

鋭い目も。

私を守ってくれた、この大きな手も。


全部。

全部……。


とめどなく流れる涙のように、想いがどんどん溢れてきて止まらなくなった。


「あ、の、わた、し……」


泣きすぎてうまく声が出ない。

しゃくり上げながらなんとか言葉を繋げようと唇を開いたら……。


「マユさん」


私を呼ぶ声がして。

大きな手が私の手から離れ、涙に濡れた頬を優しく撫でると。

触れるだけの、軽いキスをした。

瞬きをする間の……とても短いキス。

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