カッコイイオトコ
「あ、あの……なんだか混乱してしまって……良く、分からない、んですけど……」

消え入りそうなか細い声でそう言ったら、ハルヒコくんの目が私に向いた。

そして……


「好きです。……マユさん」


ジッと見つめられながら、甘い声で囁かれた。

私の心臓はありえないくらい飛び上がって、体から飛び出すんじゃないかと思った。


返事を……しなくちゃ。


だけど、混乱したままの私は何も言えずに、ただポカンとハルヒコくんを見つめていた。

そのまま私たちはしばらく見つめあっていたけれど、ふいにハルヒコくんの大きな手が私の頬から離れた。

そして立ち上がると、ハルヒコくんはクルリと背を向けた。

「すみませんでした。いきなりキスして……」

そう言って、私から離れていく。


──嫌だ。

離れていかないで。

だって、私も……




気がついたら椅子から立ち上がって、勢い良くハルヒコくんの背中に抱きついていた。

「好き……好き、です。好き……」

夢中で、自分の気持ちを伝えた。
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