カッコイイオトコ
「てやあっ!」

気合を入れて右手を出したら、ハルヒコくんの左手を掴む前に小石に躓いた。

振り返ったハルヒコくんが素早く私を受け止めてくれて、なんとか転ばずに済んだけど……。

何故……

何故っ!

せっかく勇気を振り絞ったのに! こんな時にドジが出るんですか!

うう~、泣きたい……。


「マユさんもドジですね」

「はい……」

しゅん、としてうな垂れると、大きな手が差し出された。

「転ばないように、手を繋ぎましょうか?」

「えっ……」

ハルヒコくんを見上げると、沈みかけた真夏の太陽が、彼の微笑みを柔らかく照らし出していた。

「……はい!」

元気良く返事をして、ハルヒコくんの大きな手に、私の小さな手を重ねる。

それだけで、周りの空気が春みたいに穏やかになった。

──今、真夏なのにね?

不思議だね……。



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