カッコイイオトコ
なんて会話していると、車内アナウンスが流れて電車が動き出した。

取っ手に掴まって、電車の揺れに身を任せ、車内を見渡していると……。

少し離れたところに、見覚えのある格好の男の人が、椅子に座って眠っていた。

黒いレザーのパンツに、腰にジャラジャラとうるさいくらいついた銀のチェーン。白地に銀糸で模様の描かれたTシャツ。

組まれた腕には太い黒のバングル、首にはドクロのチョーカー。

茶色の短髪は、ところどころに銀のメッシュが入っていて……。

閉じられた瞳は、神秘的なグレーの輝き……。


「ハルカ! ハルカ!」

私は必死にハルカにしがみ付いた。

「な、なに?」

ハルカはちょっと驚いた顔。

「いた! あの人! さっきの人!」

「え? ……え? さっきマユが逆ナンした人!?」

ハルカは振り向いて、車内を見渡す。

そして、私が指差す方向にいる、あのドクロのお兄さんを目に入れて……ゆっくりと、私の方を向いた。

「……まさか、アレをナンパしたの?」

「え~、ナンパっていうか、ちょっと追いかけて声かけちゃったっていうか……」

ちょっとテレ気味にハルカにそう言う。
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