カッコイイオトコ
少し涙目になって顔を上げると。

結構……いや、かなりお腹に貫禄のある短い金髪のお兄さんが、私を見下ろしていた。

丸くて黒いサングラスのおかげで、あんまり表情は読めないんだけど……。

「んあ?」

と薄い唇から漏れた声がとても低くて怖い感じ……。

黒いタンクトップはピチピチに伸ばされ、同色のズボンのポケットに突っ込まれた手も丸々として良く陽に焼けている。

腰にジャラジャラついたチェーンがアクセントになっているけど、全身真っ黒の……まるで豚さんのようです…。

「オイ」

キャー!!

すみません!

すみません!

黒豚だなんて思ってすみません~!!!!!


涙目でプルプル震えて怯えていたら。

「マユさん?」

聞き覚えのある心地良い低音ボイスが、私の耳に飛び込んできた。
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