カッコイイオトコ
「でもね、もう少し突っ込んだ会話がしたいの。大学はどこなのかとか、おうちはどこなのかとか、休日は何してるとか……」

「ちょっと、そんな会話もまだなの?」

「うん。運転は初心者だから、あんまり話しかけちゃ駄目だって。でもメールでそんなこと聞くのもなんだかな~って感じで」

「聞けばいいじゃない」

「……聞いても迷惑じゃないかな?」

「メールで聞けないなら、直接聞けば? どうせ帰りも来るんでしょ?」

「それも出来ないよぅ~!」

「何メソメソしてんのよっ!」

「あうっ」

ハルカにオデコをデコピンされて、私はちょっと涙目になる。

「ホラ、それ! その顔、かわいかった!」

「ほえ?」

オデコを抑えながらハルカを上目遣いで見る。

「ホラ~、恋する乙女は輝きが違うね~。先週より全然かわいくなったよ、マユ」

「ほ、ほんと?」

「うん。だから自信持って。何にも話せなかったら先に進めないじゃない」

「う、うん……頑張ってみる!」

ハルカにそう言われて、ちょっとだけ勇気が出た。
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