カッコイイオトコ
「よお! お嬢ちゃん!」

全開に開けられた窓から大きな手を振っているのは、丸いサングラスをかけたタカさんだった。

少し離れたところから「きゃー!」という悲鳴が聞こえる。

…あ、『グラポ』のファンの人たちだ、きっと。

私はそちらに視線を向けてから、タカさんの車に近づいた。

「すまねぇなお嬢ちゃん。今日はハルはどうしても抜けられない講義があってな」

「そうなんですか。タカさん、わざわざありがとうございます」

「いいってことよ! さ、乗りな!」

運転席から降りたタカさんは、助手席のドアを開けてくれた。

タカさんもハルヒコくんも、紳士的だなあ~。見た目と全然違う。


助手席に座ると、車はすぐに発進した。

相変わらず丁寧なハンドルさばきで、滑らかに道路を走っていく。


信号待ちで停車した時、ナオちゃんに言われていたことを思い出した。

どうしよう、タカさんに言ってみようかな?

そう思って顔を上げた時。

「お嬢ちゃんはロックバンドなんかには興味ないかい?」

「えっ? そうですね……音楽は結構、雑多に聴きますけど」

「そうかい。実は俺らバンド組んで、ライブとかもやってるんだけど」

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