カッコイイオトコ
「T歯科大だよ。アイツは家が歯医者だから、跡を継ぐつもりなんだろ」

歯科大生!!

しかも実家が歯医者さん!?

超お坊ちゃま!

通りで一千万の車!


あまりの驚きに、私は口を開けたままタカさんを凝視した。

そんな私に気付いたのか、タカさんはニンマリと笑って、

「なるほどなぁ…」

なんて言って頷いた。

「……何ですか?」

首を傾げると、車が静かに停車した。

あ、もう家に着いちゃったみたい……。


「ありがとうございました」


お礼を言って車を降りると、タカさんはキラリと白い歯を光らせて、親指を立てた。


「お嬢ちゃん、頑張れよ」


もう何度目かのその言葉に、私は微笑んで頷いた。

発進した車を見送りながら、何だか、今の「頑張れ」は妙に感情がこもっていたような気がしたなぁ、と、ぼんやりと考えた。


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