カッコイイオトコ
「えっ、いえ、別に! 明日は晴れるんですか?」

当たりさわりのない言葉を選ぶ。すると男は無表情で軽く頷いた。

「ええ、晴れるそうですよ。天気予報で言ってました」

「天気……予報?」

「ハイ。今聞いたんですけど」

「今、ですか?」

「今」

こっくりと男は頷く。

「明日ピクニックへ行くんで」

更に無表情でそう言われて、私はぽかんと口を開けた。

銀のメッシュの入った茶色のショートカットの髪に、グレーのコンタクトの入った瞳。

首には銀のドクロマークがついた皮製のチョーカーを付けていて、腰にもジャラジャラと鎖が……。

こんな人が、明日ピクニックへ!?


……暫く沈黙が流れた後、「じゃ」と言って男は颯爽と歩き出した。

次第に小さくなっていく背中。

私は無意識のうちにその背中に向かって走り出していた。
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