ひと握りのブルーベリー

「ただいま~」

「ママ、お帰りなさい、」

ママは、流し台のコップを見て、


「あれっ、誰か来てた?チャメ、」


「うん、ヨシくん、一緒に試験勉強してた、」


「そっか、中間テストの時期なんだねぇ、」


ママは、買い物袋から何かを取り出して、


「これっ、ヨシくんに持って行って、チャメ、」


「えっ、なに?ママ、」


「肉正のコロッケ、ヨシくんが大好きな、」


「えっ、ヨシくんが好きなのはコロッケパンじゃなかったかな?」


「あらっそうかしら、小学生の頃、良く肉正のコロッケを買い食いしているところを見掛けたよ、」


「へぇーそうなんだ!知らなかった、」


ママに渡された肉正のコロッケを隣の義樹の家に持って行く。

義樹は、そのコロッケを受け取って喜んでいた。
私が知らない義樹の笑顔である。さすがにうなぎの蒲焼きはないようだ(笑)




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