ひと握りのブルーベリー

合宿三日目に入ると先輩たちが滝の川高校のテニス部と合同練習を申し込んでいた。

三年生たちは、四面あるテニスコートに行ってしまった。

都立滝の川高校の一年生たちが私たちのテニスコートにやってくる。
練習の指導してくれるとのことであった。


指導っていうか、軟式テニスと硬式テニスは違いすぎるでしょう、と私は突っ込みたかったが止めにした。

私のところに滝の川高校の一年生がやってくる。


「ボク、宇佐美隼人、よろしく、」


右手を出して握手を求める。その手を握って、


「はい、私は、武井沙也夏です。」


「武井さんですか、沙也夏ちゃんって呼んでもいい?」


なんと!初対面から沙也夏ちゃんですか!と思ったが満面な笑顔を見ていたら、許してしまった。


「はい、かまわないですけど、」


「ボクのこと、隼人でいいから、よろしくね沙也夏ちゃん、」




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