ひと握りのブルーベリー
あわてて二人は立ち上がる。

「あんまり遅いから、迎えに来た、さぁ帰ろう、沙也夏、」


「はい、パパ、」


「あのーボク、宇佐美隼人と申します。沙也夏さんとはテニス部で知り合いました。」


「そうですか、沙也夏の父です、よろしく、」


「あっそう、ボクの父親が河口湖で旅館を経営していまして、」


隼人は、沙也夏の父親に名刺を渡す。その名刺を見て、


「それで君は親父さんの手伝いをしているのか、」


「はい、夏休み中は手伝っています。お父さん、」


「ふぅーん、感心なことだ、」


「来年はキャンプじゃなくて、うちの旅館に泊まってください、予約無しで泊まれるように親父に言っときますから、よろしくお願いします。」


「そうだな、うちのママと相談してからだな、それじゃ帰ろう、沙也夏、」


私は、強引にパパに手を引かれて帰って行く。
隼人さんは、私たちに向かってバイバイしていた。


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