ひと握りのブルーベリー

ゆっくりではあるがボートは進んでいる。


「お姉ちゃん、もっと早くならないの、」


「やってるわょ、やっくん、」


後ろの方から、カップルのボートが沙也夏たちのボートを横切って行く。


「ほら、負けちゃったよ、お姉ちゃん早く、」


泰貴は、あまりにも遅いのでボートを譲っていた。

「止めて、やっくん、」


ボートは傾いていき転覆する。


「ウソだろう、なにやってるんだ、」


隼人は、上着を脱いで湖に飛び込んで沙也夏たちのボートへと泳いで行く。

溺れている泰貴を隼人が抱え転覆したボートに掴まる。


「沙也夏ちゃん、大丈夫?」


「うん、私は泳げるから大丈夫、」


しばらくして、パトロール中のモーターボートが転覆したボートを見つけ近づいて、沙也夏と泰貴を引き上げ救助される。
すぐさま、監視小屋に搬送された。




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