ひと握りのブルーベリー

そうですブルーベリーの実であった。
義樹は、小さなビニール袋を持っている。おそらくスーパーで買って来てものであろう。


「昔もこんなことがあったな、チャメ、」


そうです、私が幼いころ義樹と駆けっこして、転んでしまって泣いていたら、ポケットからひと握りのブルーベリーをくれて、私が泣き止んでおんぶしてくれたことがあった。

あのときのブルーベリーは、酸っぱいほうが多くて、おそらく知らない人の庭先で取ったものであろう。
それをポケットに締まっていたので、口に入れたらジャリっとしていた。

その事を義樹はまだ覚えていたなんて、私はまた涙ぐんでしまった。
幼いころの懐かしい思い出であった。




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