私を、好きになれば良かったんだよ
……なんで、そんなに名残惜しそうに私を見るんだろう。
私を見下ろす恭吾の目を、私も黙って見つめ返した。
本当はそんな顔をする理由を私は知っていた。
けれどいまさらそんな顔をしたって無駄なんだ。
だから知らないフリをした。
そうすることでしか私は自分自身のプライドを保てなかったから。
私のことを好きだと思っていた男の子。
だけど彼は私じゃない女の子を選んだ。
そのことは私を酷く傷つけたし、
皮肉にも今まで気付かなかった私の彼への想いを気付かせるきっかけとなりもした。
あんたが選んだのは私じゃなくて、この子なのだ。