生徒だけど寮母やります!⁑
「結斗!早く景を中に入れてやれ!」
「分かってる」
焦ったように咲夜にそう言われ
結斗がすばやく鍵を開けた
「笠上さん......どうしてこんな雨の中ここまで来たのよ......!」
マナのヒステリックな声を聞きながら、結斗は思う
自分たちは校長との交渉に失敗して以来、景とはなんとなく気まずくて会えずにいたのだが
そんなことがどうでも良くなるくらい
景がここにいる事が嬉しいと
この大雨の中、自分たちのために来てくれたことが
景の自分たちに対する気持ちを表しているようで
どうして、景が寮母を辞めたかったんじゃないか、なんて考えていたのだろうと
「皆、こんな時に、勝手に来てごめんなさい」
寮の中に入った景は、カッパを脱ぎながら謝った
「本当にな。こんな大雨の中、何考えてんだよ」
ライの苛立った声にマナが大きく頷いて、景に駆け寄る
「本当よ......!危ないじゃない、心配かけるようなことしないで、笠上さん。なんでこんな事......」
「すみません。ただ、ご飯を作りにきただけなんです」
カッパを脱いでエナメルバッグから取り出したタオルで体を拭き終わると
びしょ濡れになった靴下を脱いで、景は裸足になった
そして腕まくりをしてから、ニコリと笑顔をつくる
「キッチン、おかりします」