生徒だけど寮母やります!⁑
でも、おかげでこうして皆と教室で昼食を食べることができる
笑い合うことができる
私は少し温かい気持ちになりながら、その場で立ち上がった
「どしたん?景」
「ちょっと手ぇ洗ってくるね」
「あいー」
「いってらっしゃい」
私はポケットの中のハンカチを取りながら、駆け足で教室を出た
手を洗い終わって、折角だし五限目の世界史の授業の支度をしようと、世界史準備室に立ち入った
私は世界史の担当係を受け持っており、世界史の授業の前には世界地図を用意するように言われているのだ
「地図〜地図〜」
呑気に鼻歌を歌いながら地図に手を伸ばしかけた時
ガラッ
いきなり背後で扉が空いた音がして、私は振り返った
「あ、結斗!」
「しっ!」
入って来たのはなにやら焦った様子の結斗
彼は急いで扉を閉めると、そのまま背後から私の口を塞いだ
「んぐ〜〜......」
「っ......ごめんね景ちゃん、少しだけ声出さないで」
結斗に小さい声で囁かれコクコクと頷く
耳を澄ますと、準備室の外から数人の声が聞こえてきた
「あれっ、結斗君は?」
「下に行ったんじゃねぇか?」
「追いましょう!」
「分かったわ」
どうやら結斗は追われていたようだ
バタバタとした足音が小さくなり、最後に消えると
結斗は私の口から手を離し、ふぅ、と溜息をついた