生徒だけど寮母やります!⁑
「じゃあ、今日のところはもう帰っていいですか」
それまでじっと会話を聞いていた爽馬が言うと、会長は爽馬を真剣な表情で見た
「たしか、小高......爽馬くんだよね?」
「......はい」
「冬馬先輩やエマの弟だね」
その会話に、咲夜、市河(弟)、岬が爽馬を見る
無表情なのは爽馬だけだった
「懐かしいなぁ。君の淡々とした口調や、氷の人形のような顔立ちは、お姉さんのエマにそっくりだね」
「そう......ですか」
「うん。......2人とも、元気にしてる?」
会長が微かに首を傾げて尋ねる
爽馬の表情から、動揺は読み取れない
「わかりません。会うことはあったとしても、妖狐は兄弟が多いので話したりはしません」
「なるほど、でも会いはするんだね」
「多分」
なんともあやふやな爽馬の言い方に会長は笑ってから、「小高くん」と続けた
「きっと、君もじきにこの学校から出て行ってしまうんだろう?冬馬先輩や、エマのように」
「え......」
掠れた声で呟いたのは、咲夜だった
無表情の爽馬が、そんな咲夜をチラリと見てから
「まぁ、そうですね」
と答える
「............爽馬......!」
岬たちも、驚いたように爽馬を見た
「小高くん、余計かもしれないけど、君は本当にそれでいいの?君にはお兄さんたちのように、学園を去る気が本当にあるの?なかったら無理することなんて」
「先輩には関係ないことです」
爽馬は心配する会長の言葉を遮った
そして、生徒会室を一人出て行った