生徒だけど寮母やります!⁑


市河ははきはきと全員に聞こえるように話す

咲夜から話しを聞いてはいたが、人柄が良さそうな人だ


景がふむふむと思って市河を見ていると、生徒会役員の1人が口を開いた


「ところで寮母さんとやらはどこにいるんですか?」


あっ......


まだライの魔法で消されたままだった!


ハッとしてライを見ると彼は忘れていたわけではなさそうだった

しかし責めるように強い口調で寮母のことを聞かれ、魔法の解除を躊躇っているようだ


「さぁ......まぁ怖気付いてここに来れなかったんじゃないですか」


生徒会役員の1人にどうでも良さそうに自分のことを言われ、景はびくりとする


景は怖気付いて逃げているわけではないし、消えているとはいえ現にここにいる


しかし、何だこちらを見下したような彼らの口調は


今、生徒会役員たちを前に自分が怖気付いてないかと言われれば嘘になる


結斗、咲夜、爽馬も、眉をしかめて生徒会役員たちを見た


「こちらは男子寮Bの五人で来ると聞いていましたが......。まぁ所詮魔術科の女の子ですから、怖かったのでしょう」


先程の男子役員に続いて、インテリジェンスな女子役員までもが頷いた


所詮......魔術科の女の子


それを聞いてようやく景は、今喋った人たちが皆、紅いネクタイを着けていることに気がついた


要は......いま自分を責めているのは妖術科の役員........

景はこのとき初めて、あぁこういうことなんだ、と痛感した

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