生徒だけど寮母やります!⁑
「今日のデザートは何?」
「今日はチョコグラタンです」
「チョコグラタン?」
「あったかくてフワフワした、チョコレートとアイスクリームを使ったデザートで」
「あったかいアイスクリーム?」
「いや、そうじゃなくてええと」
「朝からおやつの話ってお前ら小学生かよ」
歩きながらの私と結斗のデザートトークにライがツッコミを入れる
「ライも楽しみにしててね!」
一歩後ろを歩くライを振り返ると、彼は顎で早く歩くように促した
「わかったから前見て歩け」
「歩いてるってばー」
「女の子に合わせてライがゆっくり歩きなよ」
「くそフェミニスト」
相変わらずライは口が悪いようだ
そのまま周りの生徒の流れに身を任せて魔術科生徒用の入り口まで来ると、立っていた係の生徒にプリントを渡された
「わ、これクラスわけのプリントだ」
私の言葉に二人もプリントに目を落とす
「1から3組が妖術科、4から6組が魔術科か。俺は、5組だ」
結斗が言った
「私は......6組」
「離れちゃったね」
「隣のクラスだしすぐ会えるよ」
「だね」
少し寂しそうな顔をしながらも、結斗は私の言葉にニコリと笑った
「講堂に入ったら、指示に従ってクラス順に並んでくださーい」
係りの生徒が新入生たちに呼びかける
「結斗とは、ここでお別れだね」
「じゃああとでね、景ちゃん。ところでライ、君は......」
ライは視線に気が付くと、はっ、と結斗を鼻で笑って私の手首を握る
「行くぞ」
「ちょっと」
ライは私の手首を掴んだまま歩き出した