生徒だけど寮母やります!⁑
「ここにいない人の悪口を言うなんて......生徒会もちっちゃいですね......。いますけど」
突然誰もいない空間からする女の声に、生徒会役員や男子寮Bのメンバーは驚いた
「まさか他に誰かいるのか!?」
「でてきなさい!」
騒ぎ出す彼らたちを前に、ライが苦笑いしてこちらを睨んでくる
(気を使ってここまで隠してやってたのを無駄にしやがってバカ)
(あは......でももう魔法だってきれそうじゃない)
(だからってあんな喧嘩売るような事......)
(だって許せないんだもん)
テレパシーで景と短い会話を交わしたライは、諦めたように景にかけた魔法を解いた
ライと咲夜の間
微かなライトエフェクトと共に姿を現した景に、妖術科役員は息を飲んだ
「やっぱり、もう一人......」
「あなたは......男子寮Bの寮母」
つい先程まで嫌味や悪口の対象とされていた張本人に睨まれているのだから驚いて当然だろう
「景ちゃん。あんなこと言われた後に......、怖かったらでて来なくてもよかったんだよ?」
「だってこんなの埒が明かないでしょ?とっとと終わらせよ」
心配そうな結斗ににこりと微笑むと、景は堂々と立ち生徒会長役員をぐるりと見渡した
全員と目が合う
上級生だって沢山いるのに、怖くないわけがない......
きっと今ここで私が一歩下がれば、すかさず男子寮Bの皆が助け舟を出して彼らに歯向かってくれるだろう
しかし、自分の言葉で言いたい
景はカラカラに乾く口を開いた
「生徒会の皆さん、私がワーウルフだとかそうで無いとかは、後で思う存分言っていただいて構いません。
今私達が話したいのは、結斗についてです」
景の口からハッキリと出された本題に、特に魔術科が目つきを険しくした
生徒会長も真剣に景の話の続きを待っているようだった
「最近、魔術科生徒会役員さんたちが結斗を生徒会に勧誘していることについてですが、あまりにも悪質です。
あまりのしつこい勧誘に、結斗はお昼ご飯すら食べることができていなかった。そのせいで彼は昼休み、ぐったりしていたんです。
それだけじゃない、私を集団で囲ったこともありましたね。あそこまでするのかと、とても怖くなりました。