生徒だけど寮母やります!⁑


言い切った......


言いたいことを言い切った景の頭の中はぐるぐると回っていた


力を抜けばこのまま座り込んでしまいそうだ


恐る恐る生徒会長を見ると彼と目が合い、景はびくりとした


「笠上さん、はじめまして」

「はじめ......まして」


今更のような気がする挨拶に戸惑う景を見て柔らかく微笑んだ生徒会長は、真剣な顔つきに戻って再び口を開いた


「布川くんと小高くんとは以前話をさせてもらったけど、被害者でもある君には謝ってすらいなかった。

先日、魔術科役員が君に迷惑を掛けたことを、心から謝るよ。たくさんの上級生に囲まれて怖かっただろう、本当にごめんね」


あまりに丁寧に、そして優しく誠実に謝られ、景は少し驚いた


なんて......柔らかい雰囲気をまとった人なんだろう


女子から人気があると聞いたことを思い出し、つい自分もその丹精な顔立ちに引き込まれそうになり我に返る


「あ、は......はい......私はいいんです、大丈夫です......それより結斗に......」


景の言葉に強く頷いた生徒会長は、結斗の方へ顔を向けた



「そう、伊吹くんにもまだ謝っていなかった。伊吹くん......迷惑を掛け、そしてなんの助けもできなかったこと、本当に申し訳なかった。君のことも、いろいろ傷つけてしまったよね」


「会長......」


そう結斗が呟く顔を見て、生徒会長は申し訳なさそうな顔をした


多分、結斗が望んでいるのは何も悪いことをしていない生徒会長の謝罪ではなく、魔術科役員の謝罪だからだ


しかし何も悪くない、むしろこちらの味方になってくれていた生徒会長にこうも深々と頭を下げさせてしまうというのも、心苦しい



するとその時、妖術科役員が痺れを切らしたように魔術科役員の方を向いた



「......っおい、魔術科、何市河会長に頭下げさせてんだよ」

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