生徒だけど寮母やります!⁑
温もりを感じる綺麗なレンガの建物の壁や周りには、桃色や白を基調とした花が咲き乱れていた
「これが……男子寮B……?なんか……神秘的っていうか異世界みたいっすね」
市河がその花々に見とれながら呟くと、ライは花壇の前にしゃがみこんだ
「これは景が育てた、全部」
「そうなんすか!?」
驚いた市河が横に立っている景を見ると、景はニコニコしながらふふふーと笑って話し出す
「可愛いでしょ~、ペチュニアとかマーガレットとか育てやすいけど華があって」
「ピンクの花が好きなんすか?」
「うーん、春だからピンクで統一してみたの。ちょっとメルヘンになっちゃったかも。夏だったら青中心にしたら爽やかになるかなーとか秋だったらオレンジかなーとか考えてるんだけど」
この寮に帰ってくるときに、少しでも爽やかな気持ちになれるように
この寮母さん……すげえな
市河は感心していると、景はそんなことより、とドアに歩みを進めた
「早く中に入ろう、二人とも。みんな待ってるよ
「ああ」
「じゃあ、お邪魔します」
2人が手招きする景を見て頷くと、景はにこりと笑ってからドアノブをガチャリとまわした