生徒だけど寮母やります!⁑
私の寮母生活4
暑中お見舞い申し上げます!
「ねえねえ、見てよ爽馬!」
暑い日差しが照りつける夏休み真っ只中
景はソファに座って小難しい文学小説を読む爽馬に、じゃーん、ととあるものを突き付けた
晴れて男子寮Bの生徒となり横で腹筋をしていた市河も、何事かとこちらを見る
「にょりにょりです!」
「天突きです」
元気よくそれを紹介した景に即座にツッコミを入れると、爽馬はゆっくりとそれを手に取った
「おー、にょりにょりだ」
腹筋しながらこちらを見てそう言う市河に、景が「だよね!」と笑うと、爽馬はまたすかさず「天突き」と短く言う
「へー、それ天突きっていうんだ。さすが爽馬、よく知ってるね」
景がふむふむと感心しながら見ているのは、ところてんをグッとおしだす“にょりにょり”ではなく“天突き”なるものだった
「なんと貰ったんですね〜」
機嫌良さそうにそう言う景に、市河が尋ねる
「誰から?」
「寮母仲間のおばちゃんから」
「おばちゃんすげー」
そう言って笑う2人だったが、爽馬が真顔で景を見てから口を開いた
「まぁ、中身がなければにょりにょり?もできないと思うけどね」
こうして彼らは、ところてんを買いに出かけることになった