生徒だけど寮母やります!⁑
「さすがいっちー、太っ腹」
爽やかな笑顔で拳を肩に突きつけてくる結斗に「どの口が言うんだよ」とぼやきながら、市河は歩き出した
「雲蓋鏡とかテレポートとかの能力があればいーけど、最寄りの駅から30分もあれば実家なんで電車でさっさと行きますよ」
めんどくさそうに背中でそう言う市河を見て、景はだいぶ彼も男子寮Bに馴染んで来たと感じる
「いっちーは最近タメ口使うようになったけど、怒ると敬語に戻るんだね」
微笑みながらそう言う結斗に、景は頷いて笑った
「そうだね」
「いっちーは、本当に良い人」
唐突に真顔でそう言った爽馬に、多少驚いて景と結斗は顔を見合わせて笑う
「何してんの、早く」
「うん」
「ごめんごめん」
先を行く市河に振り返って手を仰ぎ催促され、彼らは駆け足で彼の元へと掛けていった