生徒だけど寮母やります!⁑
「ごめんなぁ、景ちゃん」
「んーごめんね景ちゃん、うるさい弟で」
「俺じゃないダロ!?」
心底申し訳なさそうな顔で謝罪する市河姉たち
景はどこまでもいじられる市河を見て、クスリと笑った
「いえ、すごく面白いお姉さん方ですね」
そんな景の反応に、先程まで真面目に冗談を言っていた2人は顔を綻ばせる
すこし緊張気味だった景のゆるんだ表情を見て、彼女たちも安心したようだった
「可愛いなぁ。でも私は日向のお姉ちゃんじゃないんよ」
もともと和室でくつろいでいた方がいたずらな笑みで言う
そういえば市河はここへ来た時に彼女に頭を下げていたし、どうやら家族というわけではなさそうだった
「そ、こっちは母さんの妹、つまり叔母ね」
市河姉が隣に座る彼女を親指でクイッと指してテキトーに紹介する
それに続いて、市河が頷きながらそれぞれを指差した
「そ。こいつは姉貴のハルで、こっちは叔母のカヅキさん。さっきそこで会った母さんの妹」
その紹介に各々が、ほ〜、と納得した
確かに先程会った市河の母に似ていなくもない
見た目からしてどちらもまだ若そうだ
「あ、シヅキ姉に会ったん?おどろいてたやろ?」
「そーそー、母さんから夏は日向は来ないって聞いてたからさー」
どうやら先程会った市河の母はシヅキさんというらしい
「まぁ来るつもりなかったんだけど、こいつらが来たがったから。祭りに」