生徒だけど寮母やります!⁑
楽しそうに座っている結斗や景、真顔で座っている爽馬をジト目で見ながら市河が言うと、彼女たちは笑って頷いた
「んぁー祭ねー。まだ早いけど、じきに表の屋台通りも賑わうだろうから皆で楽しんで来な」
「そーそ、ここの祭はこの辺で一番大きいしなぁ」
そうだったんだ......
景たちはなるほど、と頷く
早く神社を表から見て見たいなぁ
そんなことを考えていると、日向が思い出したように爽馬を指差した
「そうそう、コイツらのこと言ってなかった。コイツが同じクラスで同じ寮の爽馬」
「小高爽馬です」
見た目からの期待を裏切らない透き通った声に姉達はきゃっきゃとはしゃぐ
「んでこいつがクラスは違うけど同じ寮の結斗」
「伊吹結斗といいます」
女子ならだれでも一撃でやられそうな微笑みをくらった幸せな姉たちを、冷ややかな目で市河は見た
そして、最後
「でー、この子が俺らの寮の寮母やってる景」
その紹介に、景はぺこりと頭を下げる
「笠上景です」
想像してはいたけれど2人の反応は、結斗や爽馬とは異なるものだった
彼女たちはしばらく絶句し
それからちょっと気の抜けた素っ頓狂な声を上げた
「「寮母?」」