生徒だけど寮母やります!⁑


そんな事を景は考えていると、感慨深そうにハルが喋り出した


「でも私もさぁ、学生時代に友達をここに連れて来たことはあったんだけど......魔術科の友達なんて連れてくるどころか、あんまりいなかったもんなぁ」


その言葉に、カヅキは顎に手を当てて、景たちを見ながら浅く頷く

「せやなぁ」


魔術科と妖術科で区別することを当たり前としているこの学校で、こうして二つの科の生徒が仲良くなること


それは、男子寮Bで一緒に生活している彼らだから出来たことだ

それは常々景たちも思っていた


今だって男子寮Aや女子寮に通う生徒は、お互いを違う人種のように捉えている

仲良くなる機会だってほとんど設けられていないのが現状だ


それを聞いていた結斗が、微笑んで頷いた


「市河生徒会長は、それを変えようと一年間頑張ってらっしゃいました」


その言葉に、ハルとカヅキは「あぁ」と思い出したように声を漏らした


「あいつ生徒会長やったんやんな」

「そっか、時期的に引退か」


最近色々あってか男子寮Bと関わりの多かった生徒会長


日向の兄である彼は、ハルにとっては弟で、カヅキにとっては甥っ子ということになる


景はこの家族の中に、あの生徒会長が入っている姿を想像した


「あいつな、えらい真面目やから面倒くさかったやろ。なぁ日向?」


さすが親族

生徒会長をあいつ呼ばわりする姉に景は苦笑いする


「まぁそうなんだけど。それよりも迷惑こうむったのはこいつら。俺が男子寮Bにはいったのもそのせいだしな」


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