生徒だけど寮母やります!⁑
屋台で買い物を終え戻ってみると
そこに景と麻依はいなかった
「もーっ、いないじゃない!」
「どこにいるの!?」
「トイレの後、どこか回ってるんじゃねぇか?」
期待外れにがっかりしながらそう言う元クラスメイトたちをよそに、市河、結斗、爽馬はすこし困惑ような表情でその場に立ち尽くしていた
景は皆んなに伝えずに少しでも勝手な行動をするような事は絶対にしない
「景ちゃんから、メールきてたりする?」
結斗の言葉で2人も携帯をとりだすが、景からは何もメッセージは届いていなかった
責任感の強い景のことだ、麻依とずっと一緒に行動してるとは思うが
どうして戻っていないのだろうか
そんなにトイレは混んでいなかったはずだ
結斗がゴクリと唾を飲み込んだとき、爽馬がガバッと顔を上げた
「爽馬?」
爽馬は心配そうな顔でこちらを見ている結斗の腕を引っ張ると、皆んなの元から少し外れて小さい声で話し出した
「アッコかもしれない.......!」
「あ......アッ子?」
「違う、悪い狐と書いて悪狐(あっこ)」
「........!!」
結斗は目を丸くしたが、はたして悪狐なるものがどうしたというのか
名前からして嫌な予感はするが、怪訝な顔をする彼に爽馬は早口で説明した