生徒だけど寮母やります!⁑
「ずっとこの辺に野狐の気配を感じてはいた。神社で祭りもやってることだし、普段よりも出て来やすい状況にはある。でも必ずしもその野狐が悪狐だとは限らないし.......気にしていなかったわけじゃないけど不覚だった。もしタチの悪い悪狐の仕業だとしたら相当厄介」
焦る爽馬の言葉を聞きながら、結斗は目を瞑った
「景ちゃん......」
先程の爽馬の言動
を思い出す
『.......ついて、行けばよかったかもしれない』
『え?あ、今、景ちゃんに?.......よく分からないけど、迷ったりはしないんじゃない?流石に』
ーーー
『おっ、じゃあ買いに行く?結斗、爽馬』
『景といる』
『つれないなー』
爽馬は分かっていたのだ
もしかしたら何かあるかもしれないと
本当に
もしかしたら
市河たちがこちらを気にしている
「ねぇ爽馬、悪狐は例えば、景ちゃんが特殊能力を持った人間だとかそういう事は分かるものなの?景ちゃんは魔術科だけど」
その言葉に、爽馬は苦い顔をした
「僕もそうだけど、たとえ人間に化けない狐だとしても、狐は勘がいい。近づけばバレてしまうかもしれない」