生徒だけど寮母やります!⁑
「なるほどね」
野狐の気配を感じていた爽馬は、きっと優れた妖狐なのだろう
どうか妖狐が景たちを狙ったというのは勘違いであってほしいものだ
「それか」
爽馬が口を開いた
「野狐のテリトリーを侵害したりすれば、目をつけられるかもしれない」
「テリトリー?」
どこそこ?と不審な顔をする結斗に、爽馬は頷いた
「そう。どこかは分からないけど多分人がいないような場所だし、景たちが妖狐のテリトリーに行く理由も無い。だからその線は低いと思ってる」
「そうだね」
頷きあった2人は駆け足で市河のところまで戻り、彼の手を取った
女子たちは何事かとこちらを見る
そんな彼女たちに結斗は
「ちょっと、二人の事探してくるね」
とニコリと笑った
「え?居場所がわかったの?」
「私たちも......ってちょっと!?」
困惑する彼女たちを置いて、全力疾走で市河の手を掴んだまま結斗が走り出した
「おわっ!?」
驚く市河の背中を、爽馬がパシッと叩く
その瞳が、有無を言わさず市河は足を動かした