生徒だけど寮母やります!⁑
「じゃあちょっと魔力貸せ」
「は、何言っておまえ」
隆太郎はライの目つきに少々怯えながら後ずさる
しかし、ライはすかさず一歩を踏み出し彼をがっちりと掴む
隆太郎はあまりの彼の真剣な表情に面食らってから肩を落とした
「魔力貸せってどういうことだ?」
「テレポート(瞬間移動)」
彼の質問に間髪入れず答えるライ
隆太郎は少々困ったような反応で、頭をくしゃくしゃと掻いた
「あー脱走?何考えてるか分からないけど若者よ。せっかく素直に言うこと聞いて帰省したんだから、今ここで信用失うようなことしないほうがいいんじゃない」
「お前」
隆太郎の指摘はライの気持ちを無視しているようで、周りに悪く思われないように自分のことを考えて忠告してくれたことくらいは分かる
でも今回はただの脱走ではない
コイツには悪いが.....
景を優先しなければ
「俺は、俺が正しいと思ったことしかしない」
ライは静かに言った
「今、俺に助けを求めてきた奴がいる。それを俺が天秤にかけるまでもなく、火野よりよっぽど大事だと判断しただけだ」
火野家のやつに、こんな本音を言う日が来るとは反吐が出そうだ
ライの言葉に、隆太郎は意外そうな反応をしたのち
優しく微笑えんだ
「そうか、ライ.....。君にとって居心地の良い場所が正義だ。君が一番大切にしたいものが正義だ。協力するよ」
ライは隆太郎の言葉を、特に顔色も変えずに聞き
「悪い」
と短く詫びる
そして
「俺を、市河神社のとある場所にとばして欲しい」
そう言った