生徒だけど寮母やります!⁑
「そんな様子じゃ狐を倒すまでに1日かかんじゃん」
突如聞こえてきた聞き慣れた声に
爽馬と景は同時に振り返る
そこに立っていたのは紛れもない
今帰省中のはずのライだった
「えっ、なんでライがいるの!?」
「..........。」
驚く景に反して爽馬はいたって無表情でライを見ている
そして、やれやれ、といった感じで
「大方いっちーに呼び出されてテレポートでもしてきたんでしょ」
と呟いた
「おーい、ライ。俺を置いてくなよっ、て。あ、景も爽馬も無事じゃん。結斗は?」
「さぁ?」
そして後ろから追いつくように出てきた市河に、景はさらに目を見開いた
ひっっ
日向のこと忘れてたーー!!
「ゆっ、結斗は、あの竜巻の壁の中!麻依ちゃんも!」
途切れ途切れに竜巻の壁を指差して説明する景に、ライは首をかしげる
「麻依ちゃんってなんだ」
「あ、麻依っていうのは、小椋麻依。さっき説明した俺の中学時代のクラスメートで.....」
「あぁ、景と一緒にいなくなったっていう......」
ライのその言葉に、景は多少語弊を感じながらも頷いた
「う.....うん.....。私もなぜか雑木林の方へ入っていった麻依ちゃんの臭いを辿ってここまできたら、狐に囚われてるのを発見しただけだから.....。何があったとかはよく分からなくて.....」
「なるほど」
頷く市河を見ながら、爽馬は今の状況を話し出した
「狐の僕に使えるのは、あっち(悪狐)と同じく竜巻や風の類、そして狐火なんだけど、炎は竜巻の壁に吸い込まれて消えてしまい使い物にならない」
「それと、結斗はさっき爽馬の竜巻による対抗で一瞬生じた竜巻の壁の隙間から霧に変化して中に入っていって、多分そのまま潜伏してる」
爽馬に続いて景も説明すると、魔術科であり比較的魔術系の知識のあるライが頷く
そして竜巻の壁とその向こうで構えている狐を見ながら口を開いた
「ヴァンパイアは精気を吸うことができる。霧姿だと通常より時間はかかるだろ。けどきっと結斗も狐の精気を吸って、じきにこの竜巻の壁の威力が薄れていくはずだ、そこを狙う」