生徒だけど寮母やります!⁑
結斗は僅かに唇を震わせ、そして口をキュッと閉じた
まつ毛が揺れ、愛おしそうに景を見る
「この歳で寮母なんてやってるとさ、やっぱ面倒くさいことってたっくさんあるし、皆んなにも迷惑かけちゃったこともある。でも、そんなことは皆んながいるから問題じゃない」
「迷惑なんて思ったこと、一度もないよ。景ちゃんのおかげで、快適に過ごすことができるんだし、感謝してもしきれないよ」
「本当?そう言ってもらえることが、一番のやり甲斐かも」
景は後ろをチラリと見て、結斗に微笑む
2人は目を合わせて笑うと、もう一度視線をグラウンドに戻し、ライや鈴菜を応援した
こうして
大きな声で応援したこと
走って汗を流したこと
夏の終わりの風に吹かれたこと
それは景の
結斗の、ライの、爽馬の、市河の、咲夜の、鈴菜の
みんなの青春の1ページに
刻まれていく
思い出は消えることなく
確かに残っていくのだ