生徒だけど寮母やります!⁑
本当のお母さんに会ったことがない
身近な誰かをある日突然失う悲しみは
体験したことがないわけじゃない
じゃあ、大切な人がもともといない淋しさはどうだろうか
あ、でも、
火属性のお母さんがいるんだっけ
ライはその人から、ちゃんと愛をもらっているのだろうか
聞けなかった
「ライ、話してくれてありがとう」
私はライを見つめてお礼を言った
ライも私の方を見る
「偉そうなこと言えないけど、辛かったでしょう?
......何も役に立てないけど、美味しいものつくるし、楽しい話するし!ここでの生活が楽しくなるように私頑張るから......私のことも、頼ってね」
「ああ」
ライが微笑んだ
私が立ち上がるのを見て、ライも立ち上がる
私はドアノブに手を掛けたまま、後ろを振り向いて言った
「さっき、言ってたじゃん、この寮に入ったのもそのせいだろうって
じゃあ私は、ライが雷属性であることに感謝しないといけないね」
私がにこり笑ってそう言うと
ライはしばらく私を見つめた