生徒だけど寮母やります!⁑
始業式を終え
学校が始まった
しかし景の心は暗く
いつものように笑えない
そんな景を見かねて、ライは学校から帰ってから彼女のいる寮のキッチンに入っていった
「景」
「あ.....ライ、おかえり。お腹すいたでしょう、もう少しで用意できるから待っててね」
「ん」
ライは景の横まで言って、彼女がロールキャベツをお皿によそうのをジッと見る
「な、なに?なんか恥ずかしいんだけど」
困惑しながらライを見る景に、彼はため息をついて頭をグリグリと拳で押した
そして吐き捨てたように言う
「お前元気なさすぎてつまんねー」
「え、ええ.....」
「授業中も死んだような顔して、だからか水穂もお前のことちょっと心配してわざわざ当ててなかったよな」
「そ、そうだったの!?ら、ラッキー」
「顔が全然ラッキーじゃねぇよ」
そう言いながらライは景の休憩用の椅子に腰掛けると、景に作業を促してから話し出した
「まぁ気持ちは分かる。アイツ(爽馬)、なんで転校すんのかも言わねーし。
転校に躊躇いが無いようにも見えるし。ってか絶対アイツ無理して何事も無いようにしてるだけだろーけど。俺たちとしては、弱音だって吐いてほしいよな」
「うん.....。本当に、何で転校することになったのかな.....。私たちが口出せることじゃ無いけど、ご家族と話し合ってなんとかならないのかな」
それはみんなが思っていることで
しかし爽馬は毎回
「そうじゃない。理由は言えないけど、僕が、転校するって決めただけだから」
そう言うのだった
それは、心配を掛けないようにしたいという彼の配慮か
何か理由があっての本心か
もともと転校する可能性を知っていたらしい咲夜と市河も
困惑したように彼に問い詰めては
先ほどのように軽く流されてしまっていた
「僕が決めた。僕の意思で転校する」
と。