生徒だけど寮母やります!⁑
「まったく.....なんでお前転校の理由も言わないんだよ!納得してほしいなら理由くらい喋れ!」
「まぁまぁ落ち着いて咲夜」
下校中
咲夜はダラリと低めに背負ったリュックの紐を握り締めながら、前を歩く爽馬の背中に文句を言っていた
落ち着けととめる市河も、爽馬が理由を言わないことにはあまり良い顔をしていない
爽馬はくるりと振り向くと
「何回それ言うわけ。言うつもりはないよ。心配はとてもありがたいけど、こっちにもいろいろあって面倒くさいし」
と言ってまた前を歩き始めた
「お前.....!!」
自分たちを相手にしようとしない爽馬と
それにイライラをつのらせる咲夜
子供じゃないんだからさ.....
と市河はため息をつくと、小走りで爽馬の横へと追いついて彼に尋ねた
「いつ、転校すんの?」
「どうだろう.....2月かな」
「2月!?まじで言ってんの、来月じゃん!!.....一年すら一緒に終われないってこと?」
「うん」
「うんってお前.....」
相変わらず爽馬は淡々と喋るし
別に動揺してるわけでもない
まぁこいつ、感情が表に出ないから、色々と思ってんのかもしれないけど
ぜんっぜん分かんね
市河はそんな爽馬にもう一度考え直す機会を作れはしないかと、朝から試みていた
もちろん全て玉砕である
特に印象的だったのは、景の名前を出したときだった
『景が悲しんでも、それでも行くのか?』
『行く』
『景に泣いてすがられても?』
『変わらない。行く』
『景よりも、俺らよりも、お前にとって転校の方が大切みたいな、そんな言い方.....』
『いっちー、言いたいことはそれだけなら、僕は行くよ』
景の名前すら動じず
転校をとるあたり
こいつ何考えてんだと本気で思った
しかしそれと同時に彼の強い意志も感じる