生徒だけど寮母やります!⁑
景はまわりの視線に耐えながら、スタスタと歩く
「何あの集団、イケメンばっかなんだけど」
「なんか若いよ、高校生?」
「あの女の子とどういう関係なんだろー」
微かに聞こえてくる周囲の会話
思い返せば「この集団」の中には、今までずっと爽馬がいたのだ
それも今日でなくなってしまう
景はダッフルコートの裾をギュッと握り、弱気になるなと前を向いた
「でもこの一ヶ月、本当色々あったよな」
しみじみと言う市河に、景の横を歩いていた結斗が尋ねる
「クラスでは、爽馬のお別れ会とかやったりしたの?」
その質問には、市河と爽馬と同じ一組の生徒である咲夜が答えた
「放課後にちょっとな。さすがにあまりに急な転校すぎて豪勢なものはできなかったけどっ、寄せ書きくらいは渡したよ」
「そっかぁ.....よかったね」
爽馬が寄せ書きの色紙を受け取る姿を想像して、思わず景は笑みを浮かべる
彼が転校してしまうと分かって、自分のクラスの女子ですら悲鳴をあげたのだから、彼らのクラスメートはかなり悲しんだことだろう
先輩からも人気だったもんね、爽馬
「ん、爽馬」