生徒だけど寮母やります!⁑



突然ライがそう呟いて

5人は前方を見る



そこには紺色のスーツケースを脇に置いて、トレンチコートを纏う爽馬が立ってた


彼はまだこちらには気づいていないようで


相変わらず、彼は立っているだけで綺麗だった


「景ちゃん」

結斗に頭をぽんぽんと撫でられ、景は彼を見上げる


その笑顔が、行っておいで、と景を後押ししていた


景は頷く


「爽馬っ.....!」


爽馬はその声に気づくと、5人を見てかすかに微笑む


一番最初に彼の元まで走ってきた景を、爽馬は見下ろして口を開いた


「ありがとう、来てくれて」


綺麗な声だと思った

心から行って欲しくないと思った


それでも景は笑顔で頷く


「見送りに来たよ」

と。


後ろから来た4人も、爽馬の元まで来ると目を合わせあい

何も言わなくても


もう分かる



言いたいことは、その表情が全て物語っていた

< 378 / 388 >

この作品をシェア

pagetop