生徒だけど寮母やります!⁑
突然ライがそう呟いて
5人は前方を見る
そこには紺色のスーツケースを脇に置いて、トレンチコートを纏う爽馬が立ってた
彼はまだこちらには気づいていないようで
相変わらず、彼は立っているだけで綺麗だった
「景ちゃん」
結斗に頭をぽんぽんと撫でられ、景は彼を見上げる
その笑顔が、行っておいで、と景を後押ししていた
景は頷く
「爽馬っ.....!」
爽馬はその声に気づくと、5人を見てかすかに微笑む
一番最初に彼の元まで走ってきた景を、爽馬は見下ろして口を開いた
「ありがとう、来てくれて」
綺麗な声だと思った
心から行って欲しくないと思った
それでも景は笑顔で頷く
「見送りに来たよ」
と。
後ろから来た4人も、爽馬の元まで来ると目を合わせあい
何も言わなくても
もう分かる
言いたいことは、その表情が全て物語っていた