生徒だけど寮母やります!⁑
それは.....分かるかなぁ
自分だけ皆と違って能力なんてなくて
やっぱり不安で不安で
学校、少し怖いなぁって
思うけれど
そんな自分を周りに理解してもらう努力も
それを、もうどうにでもなれと投げ出す勇気もない
「でも、中学一年生の頃、親に連れられてこの学校に見学に来た時に、とあるここの生徒と話したことを思い出した
そいつも悩んでた
皆結局悩んでんじゃねぇのって、お前だけだと思うなって言われて
そのときに、案外、わかんねぇけど入ってみてもいいかもしれないと思えた」
「......」
その何気無い出会いで、ライがどう変わったのか詳しくはわからない
でも、きっと素敵な出会いだったに違いない
ライは私の背中に回した手を、首へとなぞるように撫でた
そして、私の頬を包んだ
「ラ、ライ?」
「おとなしくしろよ」
「ええ......からかわないでよね」
「からかう?」
ライが怪訝に呟く
「こういうことは普通、彼女とかにやることなんだから」
「お前......」
ライは私から手を離して額に手を当てた
「ん?でも、ライが一つでもこの学校に来てよかったって思えるように、頑張りたいなぁ、私」
「......それこそ彼女のセリフなんじゃねぇの」
「なんか言った?」
「いや、いい」
「そう?」
長期戦かよ......と、ライは心の中で呟いた