生徒だけど寮母やります!⁑
ライを守ります!
翌朝
私が登校すると、既に鈴菜ちゃんは席について読書をしていた
「おはよ、景ちゃん」
登校した景に気付いて、鈴菜は本から顔を上げてにこりと挨拶する
「おはよう鈴菜ちゃん」
「なあ景ちゃん」
「ん?」
私は机に鞄を置きながら、鈴菜の方を向いて首を傾げた
「朝食のとき、探したんやけど」
「えっ?」
朝食のとき探した?
私は一瞬考え、意味を理解する
あぁ......私をか
今朝、女子寮の食堂で私を探してくれたということだろう
「まあ時間帯で区切られてるとはいえ何百人おるし。見つからないかなーとも思ったんやけど、やっぱ見つからなかったわ」
肩をすくめてそう言う鈴菜に、景はなんと返せばいいのか開きかけた口を閉じた
朝は男子寮Bにいること
言ってないんだよなぁ
「なんせまだ友達が少ないから、一緒に食べようって誘っとけばよかったな」
鈴菜はエヘヘと笑う
なんか、騙してるみたいで心苦しい
「実は、朝食、食堂で食べてないんだ」
景が恐る恐る口を開くと、鈴菜はぽかんと口を開き
「何で?」
と首をかしげた
「あ......えと」
「あ、いや、ごめんな。言いにくいことくらいあるよな。分かった。もし一緒にご飯食べれるようなことがあれば、また誘って!」
「鈴菜ちゃん......」
言葉を濁したにもかかわらず
気を使ってくれるなんて
鈴菜はとても優しい人だ
「ありがとう!そうするね」
「うん!」
別に隠すことではないんだけど
言えずにいるのは私だから
そうやって優しくされると少し
心が痛いけれど
心が暖かくなった