生徒だけど寮母やります!⁑


「誰!?............え?」


近づいてきた女子生徒が素っ頓狂な声を上げた


「どうしたの、凪?誰がいたの?」


「え......あ、いや」


「ん?」


数人の女子が、パタパタとこちらに走ってきた


「......え」

「わ......」


「「「い、犬......?」」」


そう、私は危機一髪、瞬時に犬になったのだ


「くぅん」


「なんでこんなところに犬がいるのよ」


「か、可愛いね、てかシベリアンハスキー?」


「はぁ!?可愛いって......どう考えたって怪しいじゃない」


「そうだけどさ」


こうも覗き込まれるとなんとも言えなく恥ずかしい


「ねぇ、なにコソコソ言ってるの、誰かいたの?」


有姫が向こうから大きい声を上げた


「有姫、いや、誰かって言うかね......」


「もう何!?はっきりしないわね!」


有姫がこちらに向かって走ってきて、女子たちを掻き分ける


しかし有姫の目が私を捉えたところで、彼女は一瞬固まった


「何よ...........きゃああっっ!!!」




............!!!!!


大きく目を見開いた彼女は悲鳴を上げて




ドカッッッ!!





私を足で蹴飛ばしたのだ


これには彼女の友達たちも驚いたようだった


「ちょっと有姫!?」


「何してるの!?」


周りにいた彼女たちは小さく悲鳴を上げる



それにしても............


いっっったああぁぁ............



先ほど「凪」と呼ばれた女子が私を持ち上げ申し訳なさそうに言った


「大丈夫?痛かったね」


その言葉に、有姫がはぁはぁしながら、こちらを見て言う


「ややややめて!痛かったねじゃないわよ!この部屋から出してその犬を!」


「ちょ、ちょっと.....有姫、そんなに犬が苦手なの?」


「犬にはトラウマがあるの、っていうか、きっとこんな所にいるなんてただの犬じゃないのよ!」


大きな声を出してヒステリックになる有姫
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