生徒だけど寮母やります!⁑
育ち盛りの男子たちは忙しなく口を動かす
彼らがこの学校にやってきて、初めての食事だ
もぐもぐもぐ…
咲夜、爽馬、結斗が食事に夢中になる中、ライだけは口をつけず、なぜかこちらを横目で見ていた
.....なんか見られてる......?
私がみんなを見てるから.....?
「あ、み、見られてたら食べづらいですよね。何かあったら言ってください、キッチンにいるので」
後方のキッチンを指さし退散しようとすると、結斗が食べる手を止めた
「まだ何かキッチンで作業が?」
「い、いえ。私も自分の食事をとります」
もちろん生徒である私にも、同じ食事が用意されている
それをキッチンで食べるのだ
「では、またあとで...」
踵を返した私の背中に、ライが呼びかけた
「お前、さっきから自分のこと話さねぇけど、使用人なの」
「え......」
予想外の質問に動きを止め、なんと説明するべきか戸惑いながら振り返る
「あの、寮母は使用人ではないんですけど......」
「でもさっきからやってること、寮母なのか使用人なのか分かんねーんだよ。コイツはお前のこと、使用人だと思ってんじゃん」
そう言ってライは爽馬に視線を向けた
全員の注目を集めた爽馬は特にに驚いたりせず首を傾げる
「違うの?だって学科を受けないってことは、ただの人間でしょ。
どんな特例か知らないけど、寮母として働くから一般人が入学できたんじゃないの?」
「まぁその、そんなところなんですが...だからといって寮母は使用人とは違くて...」
「そう。よくわからない」
まぁ僕には関係ないけど、爽馬からはそんな感情が読み取れた
そんな私たちの歪な会話を眺めていた結斗が小さく笑う
「ほら、自分で言ってるけど寮母は使用人じゃないんでしょ。それなら景ちゃんもここで一緒に食べようよ」
「だな!」
「え......」
予想外の誘いに、私はまたも動きを止める
「一緒に食べたいなら素直にいえばいいのにねー、ライ?」
「うんうん」
「......うるさ。急に名前呼ぶな馴れ馴れしい」
一緒に?
いいの?
「小高さんも、私が一緒に食べても良いんですか?」
私がそう尋ねると、爽馬は興味なさそうに
「別にいいけど」
と呟いた
「それじゃあ決まり、一緒に食べよう景ちゃん」
「.....あ、ありがとう」
こうして私は、これから四人と一緒に食事をとることになった