この気持ちありえないから。
第1章

印象

「あーぁ部活も終わったし後は受験だけだなぁー。」

下校中。私、佐々木楓(ささきかえで)はため息まじりにだるだると帰っていた。

「だよねー中3って本当大変だよね。今更勉強って感じ、後悔だよ。あーちゃんと勉強してればよかったな。」

いつも一緒に帰っているのは久田萌奈(ひさだもえな)。
同じ陸上部だ。

「うんうん…もっと走りたかったな。」

楓は陸上部の元部長だった。
陸上が大好きで引退した今でも部活に参加、自主練を欠かさない努力家だった。ってのはよく言われてたな。

「楓は陸上大好きだもんねー!もー高校行っても陸上やるんでしょ?うちもやろーかな。」

「萌奈もやろーよ!最後らへん自己べたくさんだったし!萌奈も陸上やるんだったらうち嬉しいな!」

満面の笑みで萌奈を除き込むと萌奈は笑った。

「本当楓って陸上陸上だよねー、恋愛とかしないの?楓が恋とかありえないけどさー!」

笑いながら言う萌奈にうちはむぅ…と睨んで言った。

「どーせうちみたいな男みたいな奴が人を好きになっても引かれてちゃんちゃん。だよーあーあ。いいですねー萌奈はさ、好きな人いて。」

「あはは…でも拓也…人気だし、自分みたいなの…似合わないよ。」

ネガティブな考えをする萌奈に私は言ってやった。

「ばーか!そんな考えしちゃだめだって。まだフラれてないのに考えんな!」

「…楓って恋愛経験無しのくせになんかよく言えるね。」

まぁ励ましーみたいなものよ。
と頭をかいた。
そして十字路を曲がり萌奈の家が見えた

「あー!じゃ明日ね!ばいばい!」

「おーう!じゃね!」

手を振り私は小走りで帰った。

「本当萌奈も羨ましいーな。」

そう呟いて頭に浮かんだ。
そう言えばもうすぐ合唱コンクールだったかな。明日から練習か。

自分の陸上練習が削られると思うと気持ちが重くなった。
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