この気持ちありえないから。
「ねぇ…なんで海君歌わないの。」
ひそひそと女子が話す中。
合唱コンクールに向けての放課後練習がはじまった。
「わかんない。本当ふざけないでほしいよね、うちらは本気なのに。」
女子はめんどくさい。自分も女子だと分かっててもこの空気は嫌いだ。
「ねー愛。」
「ん??」
「愛ってあーゆーふうにキレたりする?」
「え?歌わない男子に対して?知らないよーでもできたら歌って欲しいかも。あそこまでしないけど。」
微笑を絡ませ愛は言った。
海君はずっと本を読んでいた。
歌わないのは海君だけだった。
その姿を見て私は全く不快に思わなかった。
「別に…いいと思うな。」
「ん?なんか言った?楓。」
「ん!なんでもない!」
焦った…っと…もう考えなくていいや、練習しよ。