僕等の未来
1章目
君との出会い
眩しい日差しの中の電車に揺れて黒髪が揺れる中、
一ページ一ページとゆっくりめくってはめくり哀しげそうな君の横顔を眺める
ふと目が合うその瞬間が僕の心臓がうるさくなる、というのに
君は呆気なく目を逸らしては周りを見回しては本を読みだすの繰り返し
駅のホームに止まる度に、ほら、また、目が合った、
今度はその目を大きく見開いては慌てて本を閉じて人混みの中で小さな小さな声で何かを呟いてはするりと抜けだす、
かすり当たった僕の胸と君の肩、ほんわかりと優しいいい匂いが僕を惑わす
どんな顔で笑うんだろう、どんな声なんだろう、どんな人なんだろう、
名前も知らない、哀しげそうな顔、焦ってる姿しか知らない君を思い浮かべては君への想いは止まらない
出会いは一週間前の10月の秋、
僕が出る試合大会も終えて受験生のために部活を引退し、
朝練もなくなりいつもより遅めの電車を乗った時、そこに君はいた
今時の学生は暇であれば携帯をいじる癖もありながら文書を読んでる学生なんて新鮮に感じた、
黒髪に胸くらいかかるロングにセーラー服が眩しく見えた
いわゆる一目惚れだった。
そんなこと思い出しにやけてしまうのもこらえて
明日もいますようにと心のどこかで願いながら君がおりた駅の次の駅をおりた。